ヒルファーディングの金融資本論に匹敵する本
金融資本論と並ぶ20世紀初頭の経済学の名著
ルドルフ・ヒルファーディングの『金融資本論』(1910年)は、資本主義の高度化に伴い銀行などの金融機関が巨大産業と結びつき、経済支配を強めていく過程を分析した、20世紀初頭の経済学を代表する名著です。
帝国主義論
ヒルファーディングの『金融資本論』に匹敵する歴史的名著として、まず挙げられるのが、レーニンの『帝国主義論』(1916年)です。レーニンは、本書において帝国主義を資本主義の最高段階と規定し、資本主義が必然的に世界大戦を引き起こすと論じました。
ヒルファーディングと同様に、レーニンも資本主義の発展段階における金融資本の役割に着目しました。彼は、金融資本の支配が、先進国による植民地支配と、列強間の対立を激化させ、最終的に世界大戦に至ると主張しました。
経済発展の理論
もう一つ、ヒルファーディングの『金融資本論』に匹敵する名著として挙げられるのが、ヨーゼフ・シュンペーターの『経済発展の理論』(1912年)です。シュンペーターは、本書において、イノベーションが経済発展の原動力であると論じました。
彼は、企業家が新しい技術や製品、生産方法などを導入することで、一時的な独占利潤を獲得し、それが経済全体に波及効果をもたらすと説明しました。シュンペーターは、金融資本がイノベーションを促進する役割を果たすことを高く評価しており、この点においてヒルファーディングの分析とも共通点が見られます。
資本主義・社会主義・民主主義
さらに、シュンペーターの別の著書である『資本主義・社会主義・民主主義』(1942年)も、20世紀の資本主義分析における重要な著作として挙げられます。本書は、資本主義の将来について考察したもので、シュンペーターは、資本主義が経済的に成功する一方で、その成功が皮肉にも、資本主義自身の基盤を undermining するような文化的・社会的変化をもたらすと主張しました。
シュンペーターは、大企業における官僚主義化や、知的エリート層による資本主義への批判の高まりが、最終的に資本主義を衰退させると予測しました。