## ヒルティの幸福論の世界
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著者のルドルフ・オイケンについて
ルドルフ・オイケン(1846-1926)は、ドイツの哲学者・思想家です。彼は、新カント派に属し、フィヒテの哲学を研究、発展させました。 また、独自の価値哲学を展開し、精神的な価値を重視する立場から、現代文明を批判しました。
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「ヒルティの幸福論」の概要
「ヒルティの幸福論」は、オイケンが、スイスの技術者であり思想家であったカール・ヒルティ(1833-1909)の日記や書簡を編纂し、解説を加えたものです。 1909年に刊行されると、第一次世界大戦後の不安な時代背景とも相まって、広く読まれ、多くの人の人生の指針となりました。
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ヒルティの幸福論で語られる「幸福」
本書で語られる「幸福」は、一時的な快楽や物質的な豊かさではありません。 ヒルティは、 **「幸福とは、心の平安と満足を得ること」** と定義し、それは、 **「自己のうちに確固たるものを持つこと」** によってのみ得られると説いています。
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「自己のうちに確固たるものを持つ」ために
ヒルティは、「自己のうちに確固たるものを持つ」ために、以下の3つが重要であると述べています。
* **強い意志**: 困難な状況にも屈しない、揺るぎない意志を持つこと。
* **労働**: 目の前の仕事に真摯に取り組むこと。
* **愛**: 自己の利益を超えた、他者への貢献、人類への奉仕。
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ヒルティの思想の特徴
ヒルティの思想は、キリスト教的な倫理観に大きな影響を受けています。 特に、自己犠牲の精神や隣人愛の重要性を説く点は、キリスト教の教えと共通しています。 また、ヒルティは、東洋思想、特にインド哲学にも関心を持ち、その影響が、自己の内面的な成長を重視する点などにみられます。