## ヒュームの人間機械論とアートとの関係
###
ヒュームの「人間機械論」とは
デイヴィッド・ヒュームは、18世紀スコットランドの哲学者であり、経験論、懐疑主義、自然主義を代表する人物として知られています。彼の主要な主張の一つに「人間機械論」があります。これは、人間の理性や道徳、美的感覚といった精神活動でさえも、経験に基づく心のメカニズムによって説明できるという考え方です。
ヒュームは、人間の精神を複雑な機械にたとえ、感覚経験を通して得られた印象が、連合、類似、因果関係といった法則に基づいて結びつき、思考や感情、判断を生み出すと説明しました。彼は、理性や道徳、美といった一見複雑な人間の能力も、これらの基本的なメカニズムから説明できると主張しました。
###
アートにおける「味」とヒュームの思想
ヒュームは、著書『人間本性論』の中で、美醜の判断は客観的なものではなく、主観的な「味」に基づくと論じています。彼は、芸術作品そのものに美しさがあるのではなく、作品が観察者の心に快の感覚を引き起こすことによって、美しさを感じると説明しました。
ヒュームは、「繊細な味」を持つ人々が共通して好む作品の特徴として、独創性、想像力、技巧などを挙げました。しかし、彼は「味」の基準は時代や文化、個人の経験によって異なることを認め、美的判断における客観的な基準を否定しました。
ヒュームは、芸術作品の評価において、個人の感性や経験が重要な役割を果たすと考えました。彼は、美的判断は理性に基づくものではなく、感情や感覚に基づくものであると主張し、芸術経験を主観的なものとして捉えました。