ヒュームの人間機械論からの学び
ヒュームの主張
デイヴィッド・ヒュームは、18世紀スコットランドの哲学者であり、「人間機械論」を唱えたことで知られています。彼の主張は、人間の思考や行動は、機械の動作と同様に、因果関係に基づく物理法則によって完全に説明できるというものです。
経験主義と懐疑
ヒュームはこの主張を、彼の経験主義的な認識論に基づいて展開しました。彼は、我々の知識はすべて経験から得られると主張し、経験を超えた形而上学的な実体や因果関係の存在を否定しました。彼によれば、我々が因果関係として認識しているものは、実際には、ある事象が別の事象に繰り返し先行することにより、心に生じる習慣的な結びつきにすぎません。
自由意志と決定論
ヒュームの「人間機械論」は、自由意志と決定論の問題にも深く関わっています。もし人間の思考や行動がすべて物理法則によって決定されているならば、我々は本当に自由意志を持っていると言えるのでしょうか？ ヒュームはこの問題に対し、決定論と自由意志は両立しうると主張しました。彼によれば、自由とは、外部からの強制なく自分の意志に従って行動することですが、この意志そのものは、過去の経験や現在の状況によって決定されている可能性があります。
道徳と社会
ヒュームはさらに、「人間機械論」が道徳や社会にも影響を与えることを論じました。彼は、理性は道徳の基礎ではなく、道徳感情こそが我々の行動を導くと主張しました。また、社会や政治の秩序も、人間の自然な共感能力や利己心に基づいて説明できるとしました。