パーソンズの社会体系論の企画書
書籍名
社会体系論:一般行動理論に向けて
執筆の背景と目的
社会科学は、その成立以来、独自の学問領域としての確立と発展を目指して、様々な理論や方法論が展開されてきました。しかし、各個別科学における発展とは裏腹に、社会現象を総合的に理解するための統一的な枠組みは未だ確立されていません。本書籍は、このような社会科学における現状認識を踏まえ、従来の社会学、経済学、政治学、人類学といった個別科学の枠組みを超え、人間行動と社会システムを統合的に理解するための新しい理論的枠組みを提示することを目的とします。
構成(予定)
本書は、以下の3部構成を予定しています。
第1部では、従来の社会理論、特に、社会学、経済学、人類学における主要な理論的問題と概念を批判的に検討します。具体的には、ホッブズの秩序問題、マルクスとウェーバーによる社会階層論、デュルケームの社会結合論、パレートのエリート論などを扱い、これらの理論の限界と可能性を分析します。
第2部では、本書の中核をなす「社会システム理論」の基本概念と枠組みを提示します。行動システム、パーソナリティシステム、社会システム、文化システムという四つの概念を軸に、社会システムの構造と機能、社会化の過程、社会変動のメカニズムなどを明らかにします。
第3部では、第2部で提示した理論的枠組みを用いて、具体的な社会現象を分析します。家族、経済、政治、宗教といった主要な社会制度をそれぞれ取り上げ、社会システムにおける機能と相互依存関係を明らかにします。
想定読者
本書は、社会科学を学ぶ学生、研究者はもとより、社会現象に関心を持つ幅広い読者を対象としています。従来の社会理論や個別科学の知識は必ずしも前提とせず、社会システム理論の基本的な考え方から丁寧に解説することで、社会科学の初心者にも理解しやすいように配慮します。
期待される成果と影響
本書は、社会科学における新しいパラダイムを提示することで、以下の様な成果と影響をもたらすことが期待されます。
* 社会現象を総合的に理解するための統一的な視点を提供する。
* 個別科学間の学問的交流と統合を促進する。
* 社会システム理論に基づく実証研究を促進する。
* 社会政策の立案や社会問題の解決に貢献する。