## パレートの社会学概論の技法
### 1. 論理的行為と非論理的行為の区別
パレートは、人間の行為を**論理的行為**と**非論理的行為**に厳密に区別しました。
* **論理的行為**： 主体の主観的な目的と客観的な結果が一致する行為。
* **非論理的行為**： 主体の主観的な目的と客観的な結果が一致しない行為。
パレートは、社会現象のほとんどは非論理的行為によって構成されると考えました。そして、社会学の主要な課題は、この非論理的行為を分析することであると主張しました。
### 2. 残基と派生の分析
パレートは、非論理的行為をさらに**残基**と**派生**に分類しました。
* **残基**: 人間の行動の背後にある、感情や本能などの非論理的な要素。
* **派生**: 残基を正当化したり、隠蔽したりするために用いられる、論理や道徳などの後付けの理論やイデオロギー。
パレートは、社会や歴史の変化は、残基の組み合わせや派生の変化によって説明できると考えました。
### 3. エリートの循環理論
パレートは、社会は常に**エリート**と**非エリート**に分かれており、歴史はエリートの交代劇であると考えました。そして、エリートの循環は、支配層の**残基**の構成が変化することによって起こると説明しました。
パレートは、残基の中でも特に**「持続の残基」**と**「組合せの残基」**に着目しました。
* **「持続の残基」**： 伝統や秩序を重視する保守的な傾向。
* **「組合せの残基」**： 新しいものに挑戦する革新的な傾向。
パレートは、支配層におけるこれらの残基のバランスが崩れることで、新しいエリートが台頭し、社会が変革すると考えました。