パレートの社会学概論の対極
マルクスの資本論
パレートの『社会学概論』(1916年)は、エリート主義的な視点から社会を分析し、社会の動力となるのは大衆の非合理的な感情や行動であると主張しました。そして、社会は常にエリート層によって支配されており、大衆は支配される存在であるという結論を導き出しました。
一方、マルクスの『資本論』(第一巻は1867年)は、唯物史観の立場から資本主義社会の構造を分析し、社会の動力となるのは生産力と生産関係の矛盾であると主張しました。そして、資本主義社会は労働者階級による革命によって、最終的には共産主義社会へと移行するという結論を導き出しました。
パレートとマルクスの両者は、社会の捉え方、分析方法、そして結論において、全く対照的な立場をとっています。パレートが非合理的な感情やエリートによる支配を重視したのに対し、マルクスは経済構造と階級闘争を重視しました。このように、両者の著作は社会学における全く異なる二つの潮流を代表するものとして、今日まで議論の対象となっています。