パレートの社会学概論の原点
パレートの知的背景
ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Pareto、1848-1923)は、イタリアの経済学者、社会学者、そしてエリート理論家として知られています。彼の代表作である『社会主義体系』(1902-1903)と『一般社会学概論』(1916)は、社会システムの分析に経済学の方法論を適用しようとしたもので、後世に大きな影響を与えました。
経済学から社会学への転換
パレートは当初、経済学者として活動しており、特に均衡理論の分野で重要な貢献をしました。しかし、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、彼は経済学だけでは人間の行動を十分に説明できないと考えるようになり、社会学へと関心を移していきます。
非論理的行動への着目
パレートは、人間の行動の大部分は、論理ではなく、感情、信仰、習慣などの非論理的な要因によって決定されていると主張しました。彼は、これらの非論理的な要因を「残渣」と呼び、人間の行動を理解する上で重要な要素と位置づけました。
エリート循環理論
パレートは、社会は常にエリートと大衆によって構成されており、歴史は「エリートの循環」であると主張しました。彼のエリート循環理論によれば、既存のエリートは徐々に堕落し、新たなエリートに取って代わられるというサイクルが繰り返されます。
社会システム論
パレートは、社会を相互に関連し合う要素からなるシステムと捉え、社会現象を全体論的に理解しようとしました。彼は、社会システムの均衡と変化のメカニズムを分析し、社会の安定と動態を説明しようと試みました。.