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パレートの社会学概論に影響を与えた本

パレートの社会学概論に影響を与えた本

社会学的方法の規準について

エミール・デュルケームの『社会学的方法の規準について』(1895年)は、社会学を独立した学問分野として確立しようとした重要な著作であり、社会現象を独自の視点と方法で研究することを提唱しました。この本は、社会学を志していたヴィルフレド・パレートに大きな影響を与え、彼の代表作『社会学概論』(1916年)にもその影響が色濃く反映されています。

デュルケームは、『社会学的方法の規準について』の中で、社会学の研究対象を「社会的事実」と定義し、それを「個人にとって外在的な、強制力を持った行動様式」と説明しました。彼は、社会的事実を客観的な実在として扱い、自然科学のように客観的な方法で研究すべきだと主張しました。

このデュルケームの主張は、当時の社会学界に大きな影響を与え、パレートもまた、この考え方に共鳴しました。パレートは、経済学者として活動した後、社会学に転向しましたが、その背景には、人間の行動を合理的に説明しようとする経済学の限界を感じていたことがあります。彼は、人間の行動をより包括的に理解するためには、経済学的な要因だけでなく、社会的な要因も考慮する必要があると考えました。

パレートは、『社会学概論』の中で、デュルケームの社会的事実の概念をさらに発展させ、「論理的行動」と「非論理的行動」という独自の概念を提示しました。論理的行動とは、目的と手段が合理的に結びついた行動を指し、経済活動などがその典型例です。一方、非論理的行動とは、感情や習慣、信仰などに基づく行動を指し、社会生活の多くを占めているとパレートは考えました。

デュルケームの社会学的方法論は、パレートの社会学研究の基礎となりました。パレートは、デュルケームの客観主義的な方法論を継承し、社会現象を偏見や先入観なしに観察し、分析しようとしました。また、パレートは、デュルケームの影響を受けながら、独自の社会学理論を構築していきました。

『社会学的方法の規準について』は、社会学という学問分野の発展に大きく貢献しただけでなく、パレートのような社会学者に多大な影響を与え、その後の社会学研究の重要な基盤となりました。

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