## パレートの社会学概論から得られるもの
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社会現象の非論理性を理解する視点
パレートは、人間の行動の多くは、論理ではなく、感情や信念といった非論理的な要素に支配されていると主張しました。
彼の主著である「社会学概論」では、この非論理的な行動を「残渣」と「派生」という概念を用いて分析しています。
残渣とは、人間の行動の背後にある、本能的な衝動や欲求を指します。
パレートは、人間の残渣は時代や社会が変わっても変化せず、社会現象の根底に常に存在すると考えました。
一方、派生とは、残渣を正当化するために後付けでつくられた論理やイデオロギーを指します。
パレートは、人間は自分の行動の真の動機を隠蔽するために、様々な理屈や道徳を持ち出すと指摘しました。
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社会の循環論的な歴史観
パレートは、歴史は同じようなパターンを繰り返すという循環論的な歴史観を持っていました。
彼は、社会はエリートと非エリートの闘争によって構成され、エリートが腐敗すると新たなエリートが出現して社会が変革すると考えました。
このエリートの交代劇は、パレートによれば、支配層のエリートが持つ残渣の構成の変化によって引き起こされます。
例えば、経済活動や物質的な豊かさを重視する残渣を持つエリートが台頭すると、社会は経済発展を遂げますが、やがて精神性や理想主義を重視する残渣を持つエリートが台頭すると、社会は精神的な価値観を重視する方向へと転換していく、といった具合です。
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社会分析のためのツール
パレートは、「社会学概論」の中で、社会現象を分析するための様々な概念や理論を提示しています。
例えば、社会の均衡を説明する「社会的均衡理論」、エリートの交代劇を説明する「循環論」、人間の非論理的な行動を説明する「残渣」と「派生」などは、社会学のみならず、政治学や経済学など、様々な分野で応用されています。
これらの概念や理論は、社会現象を多角的に分析するためのツールとして、現代社会においても重要な示唆を与えてくれます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。