パムクの私の名は赤の構成
構成の特徴
パムクの『私の名は赤』は、章の語り手が章ごとに変化していくという特徴的な構成を持つ小説です。語り手は、登場人物たちの視点だけでなく、擬人化された「死」、「赤」、「木」など、抽象的な概念も務めます。
章立てと語り手
小説は全部で54章から成り、各章にはタイトルと語り手が設定されています。例えば、第一部の第一章は「私は死んだ、私は始めるところだ」と題され、語り手は「死」です。このように、章ごとに異なる視点から物語が語られることで、読者は多角的に事件や登場人物たちの心情を理解していくことになります。
時間軸
物語の時間軸は必ずしも直線的ではなく、回想や未来への言及を交えながら、複雑に展開していきます。これは、語り手が章ごとに変化することに加え、登場人物たちの記憶や内面に焦点が当てられることとも関係しています。