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パムクの私の名は赤からの学び

パムクの私の名は赤からの学び

西洋と東洋の芸術観の対立

物語の舞台は16世紀末のオスマン帝国イスタンブール。西洋から伝わった写実的な細密画の影響を受けた画家の出現により、伝統的なイスラムの細密画のあり方が揺さぶりをかけられます。

西洋の写実主義は、この世のすべてをありのままに正確に描写することを重視します。一方イスラムの細密画は、神への畏敬の念から、偶像崇拝につながる人間や動物の写実的な描写を避け、幾何学模様や arabesque と呼ばれる唐草模様を特徴とします。美はアラーのみが創造すると考えられており、芸術家は神の作品を模倣する存在に過ぎないとみなされていました。

パムクは作中で、西洋と東洋の異なる芸術観を対比させることで、それぞれの文化が持つ美意識や宗教観を浮き彫りにしています。

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