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パスカルのパンセを読んだ後に読むべき本

パスカルのパンセを読んだ後に読むべき本

キルケゴール「死に至る病」

パスカルの『パンセ』は、人間の心の奥底にある矛盾や葛藤、そして信仰の重要性を鋭くえぐるような作品です。その考察の深さ、そして人間存在に対する真摯な姿勢は、キルケゴールの思想と共鳴する部分が多く見られます。特に『死に至る病』は、『パンセ』を読んだ読者がさらに深く思索を深めるための最適な一冊と言えるでしょう。

『死に至る病』は、キルケゴールが「アンチ・クリマクス」と呼ぶ独特の文体で書かれた、絶望をテーマにした哲学書です。彼は、絶望とは単なる感情ではなく、人間の存在そのものに深く根ざした状態であると捉え、「絶望しないことの絶望」「自己以外のものにおける自己でありたいという絶望」「自己でありたいという絶望」という三つの形態に分類し、それぞれの絶望が内包する矛盾と苦悩を徹底的に分析しています。

パスカルは『パンセ』の中で、「人間の偉大さは、自分が惨めであることを知っているところにある」と述べています。これは、人間が自身の有限性、弱さ、そして罪深さを自覚することの重要性を説いたものです。キルケゴールもまた、『死に至る病』において、自己を欺き、真実の自己から逃避し続ける限り、真の幸福は得られないと主張しています。彼は、絶望に真正面から向き合い、自らの存在の矛盾と苦悩を徹底的に見つめ直すことによって初めて、人間は自己を真に理解し、神への信仰へと至ることができると説きます。

『パンセ』と『死に至る病』は、どちらも人間の心の奥底にある闇の部分に光を当て、存在の不安や苦悩、そして信仰の重要性を鋭く問いかける作品です。二つの作品は、時代や文体こそ異なりますが、人間の存在の本質に迫るという点において共通しており、互いに深く共鳴し合っています。『パンセ』で提起された問題意識をさらに深め、人間の心の迷宮を探求したいと考える読者にとって、『死に至る病』は必読の一冊と言えるでしょう。

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