## パスカルのパンセの構成
パスカルの死後、彼の友人たちは、遺稿として大量の断片的なメモやエッセイを発見しました。 これらの断片は、パスカルが「キリスト教擁護論」としてまとめようとしていた著作の素材だったと考えられています。
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断片の分類と整理
パスカルの友人たちは、これらの断片を可能な限り彼の意図に沿って編集し、「パンセ」として出版しました。 しかし、断片は体系的に整理されておらず、番号もランダムに付けられているため、パスカルの構想を完全に復元することは不可能です。
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主要な版と番号付け
「パンセ」には、いくつかの主要な版が存在し、それぞれ断片の番号付けや配列が異なります。 主な版として、以下のものがあります。
* **最初の版(1670年):**パスカルの友人たちによって編集・出版された最初の版。
* **ブランシュヴィック版(1904年):**ヴィクトル・クザンによって編集された版。パスカルの草稿に最も忠実な版として知られています。
* **ルフェーブル版(1949年):**ジャック・シュヴァリエ、ルイ・ルフェーブル、レイモン・プティヨンによって編集された版。現在最も広く読まれている版の一つです。
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構成の試み
「パンセ」は、明確な章立てや目次を持たず、断片の関連性も一見しただけでは明らかではありません。しかし、学者たちは、内容や文体、メモに記された記号などを手がかりに、断片間の関係性を分析し、パスカルの構想を推測しようと試みてきました。
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主なテーマ
「パンセ」には、以下の様な主要なテーマが扱われています。
* **人間の悲惨と偉大さ:** 人間の矛盾した存在、理性と感情、有限性と無限性への憧れなど。
* **神の存在と信仰の道:** 神の存在証明、理性の限界、信仰の必要性、キリスト教の真実性など。
* **幸福と道徳:** 真の幸福の追求、快楽と退屈、愛と友情、人間の尊厳と道徳律など。
これらのテーマは、「パンセ」全体に渡って繰り返し登場し、互いに関連付けられながら、パスカルの思想の奥行きと複雑さを形成しています。