パスカルのパンセのテクスト
パスカルのパンセとは
「パンセ」は、ブレーズ・パスカル(1623-1662)の遺稿を編纂したものです。生前、パスカルはキリスト教弁証論を執筆中でしたが、志半ばで病没し、完成には至りませんでした。残されたのは、断片的なメモやエッセイ、未完成の文章など、800枚以上にものぼる草稿でした。
テクストの構成
「パンセ」は、パスカルの死後、友人や親族によって編集・出版されました。しかし、草稿の状態や編集方針の違いから、複数の版が存在します。代表的なものとしては、1670年に出版された「初版」、パスカルの遺族が編集した「ポワル版」、20世紀に入ってから発見された草稿に基づく「ラフュマ版」などがあります。
これらの版では、収録されている断片の順番や内容が異なっています。そのため、「パンセ」を解釈する際には、どの版を底本としているかを明確にする必要があります。
パンセの内容
「パンセ」には、パスカルの思想の断片が、テーマごとに分類されずに、ランダムに配置されています。主なテーマとしては、以下のようなものがあります。
* 人間の有限性と悲惨
* 理性の限界と信仰の必要性
* 神の存在証明
* キリスト教信仰の合理性
* 幸福と道徳
パスカルは、人間を「考える葦」と呼び、その偉大さと悲惨さを同時に描き出しました。彼は、理性によって世界のすべてを理解することは不可能であり、信仰によってのみ真の幸福に到達できると主張しました。
文体
パスカルの文体は、明晰さと力強さを兼ね備えています。彼は、短い文章を積み重ねていくことで、読者に強い印象を与えます。また、比喩や逆説、皮肉などを効果的に用いることで、人間の矛盾や複雑さを浮き彫りにしています。
影響
「パンセ」は、フランス文学の古典として、後世の作家たちに多大な影響を与えました。その思想は、実存主義やポストモダニズムの先駆とみなされることもあります。