パシュカーニスの法の一般理論とマルクス主義の価値

パシュカニスは、マルクスの断片的な法論を体系化し、資本主義社会における法の役割を商品交換の観点から分析しました。彼は、法の形式的な平等性は、商品所有者間の自由で平等な交換という資本主義の基盤を反映していると主張しました。

パシュカニスは、法的形式と商品形式の間にアナロジーを見出しました。彼は、商品が使用価値と交換価値という二重性を持つように、法もまた、具体的な法的関係と抽象的な法的形式という二重性を持つと論じました。

パシュカニスは、法的主体が抽象的な存在であることを強調しました。彼は、法的主体は、具体的な個人から切り離され、法的関係においてのみ意味を持つ抽象的な構成物であると主張しました。

パシュカニスは、法的関係を、相互に独立した意思を持つ主体間の関係として捉えました。彼は、契約や所有権などの法的概念は、これらの独立した意思間の相互作用を調整するためのメカニズムとして機能すると論じました。

パシュカニスは、国家と法をブルジョア階級の支配の道具と見なしました。彼は、法の形式的な平等性は、実際には、資本主義的生産関係を維持し、ブルジョア階級の利益を守るために利用されると主張しました。

パシュカニスは、共産主義社会の到来とともに、国家と法は消滅すると予測しました。彼は、階級対立が解消された社会では、法による強制は不要になり、人々は自由で平等な関係に基づいて共存すると論じました。

パシュカニスの理論は、その後のマルクス主義法学者から、経済決定論に陥っている、法の相対的な自律性を無視している、などの批判を受けました。しかし、彼の著作は、資本主義社会における法の役割についての重要な洞察を提供し、マルクス主義法理論の発展に大きな影響を与えました。