## パシュカーニスの法の一般理論とマルクス主義の分析
パシュカーニスの生きた法と法的形態
パシュカーニスは、ロシア革命後まもないソビエト連邦で活躍した法学者であり、その思想はマルクス主義の影響を強く受けています。彼は、法の本質を理解するためには、具体的な歴史的・社会的な文脈の中で捉える必要性を強調しました。
商品交換と法形態
パシュカーニスは、法を資本主義社会における商品交換の論理と結びつけて分析しました。彼は、商品交換が社会関係を支配的なものとなるにつれて、個人間の関係は法的形態を帯びてくることを指摘しました。つまり、個人は法的主体として、所有権や契約などの法的カテゴリーを通じて互いに関係するようになるのです。
法的主体と法的関係
パシュカーニスによれば、法的主体とは、抽象化された法的関係における当事者を指します。法的主体は、具体的な個人や集団の属性や差異を捨象し、法的権利と義務の担い手として位置づけられます。この抽象化された法的主体の概念は、資本主義社会における個人間の関係を平等かつ自由なものとして表象する一方で、現実の社会における不平等や権力関係を覆うイデオロギーとして機能するとパシュカーニスは批判しました。
国家と法の凋 wither away
パシュカーニスは、国家と法は資本主義社会特有の現象であり、階級対立が解消された共産主義社会では消滅していくと主張しました。彼は、共産主義社会においては、法による強制力に頼ることなく、個人が自由に活動し、社会全体に貢献するようになると考えました。
パシュカーニス理論への批判と影響
パシュカーニスの理論は、その後のマルクス主義法理論に大きな影響を与えましたが、同時に批判も受けてきました。批判の多くは、彼の理論が経済決定論に偏りすぎており、法の相対的な自律性やイデオロギーとしての役割を十分に説明できていないという点に集中しています。
パシュカーニスの法理論は、今日の視点から見ると、いくつかの点で時代的な限界があると言えます。しかしながら、法を歴史的・社会的な文脈の中で捉え、そのイデオロギー的側面を批判的に分析しようとする彼の姿勢は、現代の法学においても重要な示唆を与えてくれます。