## パシュカーニスの法の一般理論とマルクス主義と時間
パシュカーニスの法の一般理論における時間概念
パシュカーニスは、彼の主要な著作『法の一般理論とマルクス主義』（1924年）において、カール・マルクスの商品形態論を法的関係の分析に応用しました。彼は法を、資本主義社会における商品交換の必然的な結果として捉えました。
パシュカーニスは、法的主体の形式的平等性を、資本主義経済における商品所有者の関係と結びつけました。 法的主体とは、権利能力と行為能力を有し、法律関係において権利を主張し、義務を負うことができる抽象的な個人を指します。 彼は、この抽象的な法的形式が、実際には資本主義社会における具体的な社会関係、つまり労働力と資本との間の搾取関係を隠蔽していると主張しました。
マルクス主義における時間概念
マルクス主義において、時間は単なる物理的なものではなく、社会的なプロセスと密接に関係しています。 マルクスは、資本主義社会における時間を、労働力の搾取と資本の蓄積という観点から分析しました。
マルクスは、労働時間を「必要労働時間」と「剰余労働時間」に区別しました。 必要労働時間は、労働者が自身の生活に必要な生活手段を生産するために必要な労働時間です。 剰余労働時間は、必要労働時間を超えて労働者が働かされる時間で、この剰余労働時間から資本家の利潤が生み出されます。
パシュカーニスとマルクスにおける時間概念の関連性
パシュカーニスは、マルクスの時間概念を法的関係の分析に応用しました。 彼は、法が資本主義社会における時間の社会的構成を反映していると主張しました。
例えば、契約は一見すると自由で平等な当事者間の合意に見えますが、パシュカーニスは、契約が実際には労働力の搾取と剰余価値の生産を合法化する手段として機能していると主張しました。
時間概念の重要性
パシュカーニスとマルクスにとって、時間概念は、資本主義社会における搾取と不平等のメカニズムを理解するために不可欠なものでした。 彼らの分析は、法と時間が、客観的で中立的なものではなく、社会的に構築されたものであることを示しています。