## バークの「フランス革命の省察」とアートとの関係
バークの美意識
エドマンド・バークは、アイルランド出身のイギリスの政治家、哲学者であり、その思想は保守主義の源流の一つとされています。「フランス革命の省察」において、彼はフランス革命の混乱を批判し、伝統や秩序の重要性を説きました。
バークの思想は、彼の美意識と密接に結びついています。彼は、1757年に発表した『崇高と美の観念の起源について』の中で、崇高と美という対照的な概念を分析しました。彼によれば、崇高とは、恐怖や畏怖といった感情を引き起こす、巨大で圧倒的なものを指します。一方、美とは、愛着や優しさ、快楽といった感情を引き起こす、調和のとれたものを指します。
「フランス革命の省察」におけるアートへの言及
「フランス革命の省察」の中で、バークはアートについて直接的に論じているわけではありません。しかし、彼の美意識は、フランス革命に対する批判の根底に流れています。
例えば、彼は、革命政府によって破壊された教会や貴族の館、そして没収された美術品について、深い悲しみと怒りを表明しています。彼にとって、これらのものは単なる物質的な財産ではなく、フランスの歴史や伝統、文化を体現する貴重な遺産でした。革命政府の行為は、彼にとって、美と調和を破壊し、恐怖と混乱を引き起こす、崇高の負の側面を体現するものだったと言えるでしょう。
バークの思想とロマン主義
皮肉なことに、バークのフランス革命に対する批判は、ロマン主義と呼ばれる、新しい芸術運動の台頭を促す一因となりました。ロマン主義の芸術家たちは、バークが重視した感情、想像力、そして歴史や自然への畏敬の念を共有していました。彼らは、フランス革命の理想や、それに続くナポレオン戦争の現実を、情熱的な筆致で描き出しました。
このように、「フランス革命の省察」は、直接的にアートを論じたものではありませんが、バークの美意識や歴史観、そしてフランス革命に対する批判を通して、その後の芸術に大きな影響を与えたと言えます。