バブッフの人民宣言を読んだ後に読むべき本
マルクス・エンゲルス選集 (1)
バブッフの「人民宣言」は、フランス革命期の急進的な思想を代表するものであり、その後の社会主義思想に大きな影響を与えました。特に、私有財産の廃止、平等な社会の実現といった主張は、後のマルクスの思想にも通じるものがあります。
そこで、「人民宣言」を読んだ後には、マルクスの思想に触れることで、バブッフの思想がどのように発展していったのか、あるいはどのような点で共通し、どのような点で異なっているのかを、より深く理解することができます。「マルクス・エンゲルス選集 (1)」には、「共産党宣言」をはじめとする初期のマルクスの著作が収録されており、バブッフとの比較検討をする上で最適な一冊と言えるでしょう。
「共産党宣言」では、資本主義社会の矛盾を鋭く分析し、プロレタリアートによる革命の必然性を説いています。バブッフは、平等社会実現のために民衆による蜂起を主張しましたが、マルクスは、資本主義社会の内部矛盾の分析に基づき、歴史的な必然としてプロレタリアート革命をとらえていた点で、両者には違いが見られます。
また、「経済学・哲学草稿」では、私有財産が人間疎外を生み出すと批判しており、この点はバブッフの主張と共通しています。しかし、マルクスは、私有財産の廃止だけでなく、労働の疎外、人間関係の疎外など、人間存在そのものを規定する「疎外」という概念を用いて、資本主義社会を批判した点で、バブッフの思想をより深化させたと言えるでしょう。