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バタイユの呪われた部分

## バタイユの呪われた部分

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概要

『呪われた部分』は、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユの主著の一つであり、1949年から1961年にかけて執筆、発表されました。全3巻から成り、それぞれ「犠牲」「エロティシズムの歴史」「ソドムの聖なる神」という副題が付けられています。本書は、西洋の合理主義的思考が排除してきた、理性では捉えきれない人間の根源的な側面、すなわち「呪われた部分」を、エロティシズム、死、宗教などを主なテーマとして、多角的に考察した作品です。

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構成

**第一部 犠牲**

* 太陽の肛門
* 歓喜の場所へ
* 至高なるものの概念
* 犠牲の諸形態
* エロス

**第二部 エロティシズムの歴史**

* 人間の態度
* 動物における連続性と不連続性
* 禁断と超越
* 超越のエロティシズム

**第三部 ソドムの聖なる神**

* 神なき神秘主義
* 内的体験
* ソドムの聖なる神

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主要なテーマ

**1. 呪われた部分(le part maudite)**

「呪われた部分」とは、理性や有用性によって管理される生産的な世界から排除された、過剰なエネルギー、浪費、死、エロティシズムといった、人間の非合理的な側面を指します。バタイユは、人間存在の根源にはこの「呪われた部分」が存在し、それを直視することなしに人間を理解することはできないと主張します。

**2. 消費と浪費**

バタイユは、人間の経済活動の本質は、生産ではなく「消費」と「浪費」にあると主張します。人間は、生命維持に必要な量を超えたエネルギーを、祭りや戦争、芸術などの非生産的な活動を通して「浪費」することで、はじめて人間としての完全性を実現することができるというのです。

**3. エロティシズムと死**

バタイユは、エロティシズムと死を、人間が「呪われた部分」と接触する privileged moments(特権的な瞬間)として捉えます。これらの体験は、自我の限界を突破し、他者との融合をもたらすことで、人間を有限性から解放する可能性を秘めているというのです。

**4. 禁断と超越**

バタイユは、人間社会における「禁断」は、単なる抑圧ではなく、「呪われた部分」への接近を制御するための necessary evil(必要な悪)であると捉えます。「禁断」は、超越的なものへの畏怖の念と結びつくことで、人間の精神生活を豊かにする役割を果たすと考えます。

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影響

『呪われた部分』は、発表当初は大きな反響を呼びませんでしたが、その後、ミシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ、ジャック・デリダといったフランス現代思想の旗手たちに多大な影響を与え、思想史における重要な古典としての地位を確立しました。 また、文学、芸術、社会学、人類学など、幅広い分野に影響を与え続けています。

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