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バタイユの呪われた部分の周辺

## バタイユの呪われた部分の周辺

ジョルジュ・バタイユと「呪われた部分」

ジョルジュ・バタイユ(1897-1962)は、フランスの思想家、小説家、評論家です。その思想は、ニーチェ、マルクス、フロイトなどの影響を受けつつも、独自の体系を築き上げました。バタイユは、人間の根源的な欲望や衝動、社会の隠蔽された側面に目を向け、「エロティシズム」「聖なるもの」「消費」といった概念を軸に、西洋理性主義的な思考の枠組みを超えた、新たな思想の地平を切り開こうとしました。

「呪われた部分」の位置づけ

「呪われた部分」は、バタイユの主著の一つであり、1949年から1961年にかけて執筆、刊行されました。全3巻からなる大著で、経済学、社会学、人類学、歴史学、文学、芸術など、多岐にわたる分野を横断しながら、人間の欲望と社会の構造を考察しています。バタイユはこの著作において、「経済」という概念を拡張し、人間の活動全般を「生産-消費」の循環として捉え直そうとしました。

「一般経済学」と「過剰」の概念

バタイユは、従来の経済学を「一般経済学」と呼び、その限界を批判しました。一般経済学は、生産活動と消費活動を均衡させることを目的とし、人間の活動を「有用性」という観点からしか捉えていません。しかし、バタイユは、人間には有用性を超えた「過剰」なエネルギーが存在し、それがさまざまな形で消費されると考えました。

「過剰」の消費形態:エロス、死、宗教

バタイユは、「過剰」なエネルギーの消費形態として、エロス、死、宗教などを挙げました。これらの活動は、有用性を目的とするものではなく、むしろ人間の有限性を突きつけ、社会の秩序を揺るがすような側面を持っています。バタイユは、こうした「非生産的な消費」こそが、人間存在の本質的な部分であり、社会の隠蔽された真実を明らかにすると考えました。

「呪われた部分」の影響

「呪われた部分」は、刊行当初はあまり注目されませんでしたが、1960年代後半からのバタイユ思想の見直しに伴い、広く読まれるようになりました。その影響は、哲学、文学、芸術など、さまざまな分野に及び、ポスト構造主義、ポストモダン思想の先駆的な著作としても評価されています。

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