## バタイユのニーチェについての思考の枠組み
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ニーチェ解釈における基軸:能動的なニヒリズム
バタイユは、ニーチェを、西洋形而上学の伝統の根幹をなすニヒリズムを積極的に肯定した思想家として捉えます。彼にとってニーチェは、神や理性といった超越的な価値の死を単なる喪失や絶望としてではなく、むしろ新たな可能性の解放として捉え直した存在でした。
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「生の肯定」における過剰性と超越
バタイユは、ニーチェの「生の肯定」という概念を、単なる快楽主義的な生への執着としてではなく、限界を超越し、不可能なものへと向かう運動として解釈します。バタイユによれば、ニーチェにおける生の肯定とは、理性や道徳といった制限を超えた、過剰で無益な生の奔出を肯定することにほかなりません。
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主体的理性への批判と「ディオニソス的」な生の肯定
バタイユは、ニーチェが西洋哲学の伝統における主体的理性への批判を通じて、「ディオニソス的」な生の肯定を提示したと解釈します。彼によれば、アポロン的な理性や秩序は、生の過剰で混沌とした側面を抑圧するものであり、真の生の肯定のためには、ディオニソス的な陶酔と狂気の中に身を投じることが必要となります。
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「永劫回帰」と有限性への挑戦
バタイユは、ニーチェの「永劫回帰」という思想を、有限な人間存在が無限の生の肯定へと向かうための試みとして捉えます。彼は、永劫回帰を、単なる時間の円環的な反復としてではなく、一瞬一瞬が永遠に繰り返されることを肯定することによって、有限な生を超克し、無限の生の肯定へと至る試みとして解釈します。