バクーニンの神と国家の主題
主題:人間の解放を阻害するものとしての、神と国家への批判
ミハイル・バクーニンの未完の著作『神と国家』は、人間の自由と解放に対する、神と国家という権威に対する痛烈な批判を展開しています。バクーニンは、人間の本質は理性と自由意志によって特徴付けられると主張し、いかなる外部からの権威も人間の自律性を侵害するものであるとみなしました。
まず「神」について、バクーニンは無神論者であり、神の概念は人間の自由を奪うものであると論じます。彼によれば、神への服従は、人間の理性を放棄し、外部からの命令に盲目的に従うことを意味します。さらに、神の存在は社会的不平等を正当化するために利用されてきたとバクーニンは主張します。支配階級は、神の意志によって自分たちの権力が保証されていると主張することで、被支配階級の服従を強いてきたというのです。
次に「国家」について、バクーニンはあらゆる形態の国家権力を否定します。彼にとって国家とは、暴力と強制によって国民を支配する、抑圧的な装置にすぎません。バクーニンは、国家は少数者によって支配され、多数者の利益を犠牲にして自己の権力を維持しようとすると主張します。法律、警察、軍隊といった国家機構は、すべてこの抑圧的なシステムを維持するための道具として機能すると彼は考えました。
バクーニンは、真の自由と平等を実現するためには、神と国家という二重の軛から人類が解放されなければならないと結論づけます。彼は、個人の自由と自律性を重視する無政府主義社会の建設を提唱し、国家権力や宗教的権威に頼ることなく、人々が自らを組織し、協力し合うことを呼びかけました。