Skip to content Skip to footer

バクーニンの「神と国家」の思想的背景

## バクーニンの「神と国家」の思想的背景

###

ヘーゲル哲学の影響

バクーニンは初期にはヘーゲル哲学に傾倒しており、特にヘーゲルの弁証法に強い影響を受けました。弁証法とは、ある命題(テーゼ)に対して、その矛盾点から導き出される反対命題(アンチテーゼ)を対置させ、さらに両者を総合する過程でより高次の命題(ジンテーゼ)へと発展させていく思考方法です。

バクーニンは、ヘーゲルの弁証法を歴史解釈に適用し、歴史を自由への進歩の過程として捉えました。バクーニンは、人間は本来自由な存在であるにも関わらず、歴史の中で国家や宗教といった権力機構によって抑圧されてきたと考えました。そして、これらの抑圧を克服し、真の自由を実現することが歴史の目的であると主張しました。

###

無政府主義への転換

しかし、1840年代半ば頃からバクーニンはヘーゲル哲学を批判するようになり、無政府主義思想へと転向していきます。ヘーゲル哲学批判の背景には、現実の政治状況への失望がありました。

ヘーゲルは、プロイセン国家を理性の実現形態として肯定的に評価していました。しかし、バクーニンは、プロイセン国家をはじめとする当時のヨーロッパ諸国は、依然として人民を抑圧する権威的な存在であると批判しました。そして、ヘーゲル哲学は、国家による支配を正当化するイデオロギーとして機能していると考えたのです。

###

プロレタリアートへの共感

バクーニンの無政府主義思想は、当時の社会状況、特に産業革命に伴う労働者階級の貧困と抑圧に対する強い憤りから生まれました。バクーニンは、国家や資本家による搾取によって労働者階級が苦しめられている現実を目の当たりにし、彼らに深い共感を抱きました。

そして、国家と資本主義の両方を打倒し、労働者階級による自由で平等な社会を実現することが必要であると主張しました。バクーニンの思想は、後のアナキズム運動、特にアナルコ・サンディカリスムに大きな影響を与えました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5