## ハロッドの動態経済学序説に関連する歴史上の事件
### 1920年代の世界恐慌とケインズ経済学の台頭
ハロッドが「動態経済学序説」を執筆した1930年代は、世界恐慌の影響が色濃く残る時代でした。1929年にアメリカで発生した世界恐慌は、世界中に波及し、深刻な不況を引き起こしました。この経済危機は、従来の経済学では説明できない現象であり、新たな経済理論の必要性を強く印象づけました。
このような時代背景の中、ジョン・メイナード・ケインズは、1936年に「雇用・利子および貨幣の一般理論」を出版し、画期的な経済理論を提唱しました。ケインズは、有効需要の不足が不況の原因であるとし、政府による積極的な財政政策の必要性を主張しました。
ハロッドは、ケインズの「一般理論」に大きな影響を受けたとされています。「動態経済学序説」では、ケインズの考え方を踏まえつつ、経済成長と景気循環の問題を動学的に分析しようとしています。
### 第二次世界大戦後の経済復興と成長
第二次世界大戦後、世界経済は復興と成長の時代を迎えました。大戦で疲弊した各国は、経済復興のために様々な政策を打ち出し、国際協力体制を構築しました。特に、アメリカは、マーシャル・プランなどを通じて、西ヨーロッパ諸国の復興を支援しました。
このような経済環境の中、ハロッドの「動態経済学序説」は、経済成長のメカニズムを解明するための理論的な枠組みを提供するものとして、注目を集めました。彼の理論は、経済成長を持続させるための政策提言を行う上でも、重要な役割を果たしました。
### 1970年代のスタグフレーションと供給サイド経済学の台頭
1970年代に入ると、世界経済は、スタグフレーションと呼ばれる、インフレーションと不況が同時に進行するという、新たな問題に直面しました。これは、従来のケインズ経済学では説明できない現象であり、経済学の分野では大きな論争を巻き起こしました。
このような状況の中、供給サイド経済学と呼ばれる、新たな経済理論が登場しました。供給サイド経済学は、インフレーションの原因を、需要の excessoではなく、供給側の問題に求め、減税や規制緩和などを通じて、企業の生産性を向上させることの重要性を主張しました。
ハロッドの「動態経済学序説」は、需要サイドの要因だけでなく、技術進歩などの供給サイドの要因も考慮した、経済成長の理論を提供しています。彼の理論は、1970年代のスタグフレーションの問題を分析する上でも、一定の示唆を与えていると言えるでしょう。