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ハリントンのオシアナの対極

## ハリントンのオシアナの対極

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トーマス・ホッブズの「リヴァイアサン」

ジェームズ・ハリントンの「オシアナ」(1656年)は、土地所有の制限に基づいた理想的な共和制を提示し、広範な市民の政治参加と権力の分散を提唱しました。一方、トーマス・ホッブズの「リヴァイアサン」(1651年)は、自然状態における人間の闘争を克服するために、絶対的な主権を持つ国家の必要性を説いた、対照的な政治思想の古典です。

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対照的な人間観

ハリントンは、人間の本質を理性と協調性を重視し、適切な制度設計によって市民は共通の利益のために協力できると考えました。「オシアナ」では、土地所有の平等が政治的安定の基盤となり、市民は自己の利益と公共の利益の一致を認識することで、共和制を維持していくとされました。

これに対してホッブズは、人間の自然状態を「万人の万人に対する闘争」と描き、利己心と権力欲によって絶え間ない紛争が生じると考えました。ホッブズにとって、理性や道徳心は社会契約によって創出されるものであり、自然状態における人間は恐怖と暴力に支配されています。

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異なる国家観

ハリントンの理想とする国家は、権力の分散と市民参加を重視する共和制であり、個人の自由と自治を重視しました。「オシアナ」では、選挙や立法機関を通じて市民が政治に参加し、権力の集中を防ぐ仕組みが提示されています。

一方、ホッブズは、社会秩序と安全保障を確保するためには、絶対的な権力を持つ主権者が必要であると主張しました。「リヴァイアサン」では、国家は人々から自発的に権力を譲り渡された単一の主体として描かれ、その権力は分割されることなく、あらゆる紛争を解決する最終的な権威となります。

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政治体制への影響

「オシアナ」は、17世紀後半のイングランドにおける共和主義運動に影響を与え、アメリカ合衆国憲法の制定にも影響を与えたと考えられています。ハリントンの思想は、権力の分散、市民参加、個人の権利を重視する現代の民主主義国家の理念に繋がっています。

「リヴァイアサン」は、絶対主義的な国家観を正当化するものでしたが、同時に、国家の権力は国民の同意に基づくべきであるという社会契約論を提示しました。ホッブズの思想は、近代国家の形成と国際関係論に大きな影響を与え、現代の政治哲学においても重要な議論の的となっています。

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