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ハリントンの『オシアナ』の思想的背景

## ハリントンの『オシアナ』の思想的背景

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古代ギリシャの思想

ハリントンは古代ギリシャ、特にアテネの政治体制や思想に強い関心を抱いていました。『オシアナ』においても、プラトンやアリストテレスといった古代ギリシャの哲学者たちの思想の影響が見られます。

例えば、『オシアナ』で提示される理想国家「オシアナ」では、土地所有の平等が重視されています。これは、プラトンの『法律』で述べられる、土地の均等な分配による国家の安定という考え方に通じるものです。

また、ハリントンは古代ギリシャの混合政体、すなわち君主制、貴族制、民主制の長所を組み合わせた政治体制を理想としていました。これはアリストテレスの『政治学』における考察の影響を受けています。『オシアナ』においても、立法、行政、司法の三権分立や、二院制議会、選挙による官職の選出といった制度が採用されており、混合政体の考え方が反映されていることがわかります。

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イギリスの政治思想と歴史的経験

ハリントンは、古代ギリシャの思想だけでなく、当時のイギリスの政治思想や歴史的経験からも大きな影響を受けていました。特に、1640年代から始まった清教徒革命(イングランド内戦)とその後の共和政期における経験は、『オシアナ』の執筆に大きな影響を与えています。

ハリントンは清教徒革命を、土地所有をめぐる対立が原因となった内乱と捉え、土地所有の不平等が政治的な不安定をもたらすと考えました。そして、土地所有の平等こそが、安定した共和政を維持するための鍵であると主張しました。

また、共和政期のクロムウェルによる独裁体制も、ハリントンの政治思想に影響を与えました。ハリントンは、クロムウェルの独裁を目の当たりにし、強力な指導者による支配よりも、制度によって権力を制限することが重要であると考えるようになりました。

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マキャベリの政治思想

ハリントンは、ニッコロ・マキャベリの政治思想からも影響を受けていました。特に、マキャベリの主著『君主論』で展開される、政治における現実主義的な視点や、権力闘争の重要性に対する認識は、『オシアナ』にも影響を与えています。

ハリントンは、マキャベリと同様に、政治においては理想主義よりも現実主義が重要であると考え、人間の利己心や権力欲を考慮した上で、政治制度を設計する必要があると主張しました。

また、ハリントンは、マキャベリが『君主論』の中で述べている、建国や政治改革においては、暴力や武力の行使も辞さないという考え方を部分的に受け入れていました。

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