## ハリントンの「オシアナ」の思考の枠組み
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共和制と君主制の比較
ハリントンは「オシアナ」において、共和制と君主制という二つの主要な政体を対比させています。彼は、歴史上の様々な政体を参照しつつ、それぞれの長所と短所を分析しています。
共和制については、古代ローマの例を挙げながら、市民の自由と政治参加を重視する体制であると指摘します。市民が政治に参加することで、権力が一箇所に集中することを防ぎ、腐敗や専制を防ぐことができると主張します。
一方、君主制については、権力が一人の人物に集中するため、迅速な意思決定が可能である点を利点として挙げます。しかし、君主の資質に国家の命運が左右されること、また、専制政治に陥りやすいことを批判しています。
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土地所有と政治権力の関係性
ハリントンは、土地所有と政治権力の関係に着目し、土地の所有構造が政治体制を規定すると考えました。彼が「オシアナ」で提唱する理想国家は、土地所有の平等を基盤としています。
彼は、土地が一部の特権階級に集中すると、政治権力もまた集中し、腐敗や不平等が生じると主張します。逆に、土地所有が平等であれば、政治権力も分散され、より安定した政治体制が実現すると考えました。
「オシアナ」では、土地所有の上限を設けることで、土地の集中を防ぎ、政治権力の均衡を保つことを提案しています。
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均衡と抑制による政治体制
ハリントンは、政治体制において「均衡と抑制」の原則が重要であると考えました。これは、権力を分散させ、それぞれの機関が互いに監視し合うことで、権力の濫用を防ぐという考え方です。
「オシアナ」では、立法、行政、司法の三権分立を提唱し、それぞれの権限を明確に分けることで、権力の集中を防ぎ、相互に抑制し合うシステムを構築しています。
また、二院制議会を採用することで、貴族院と平民院がお互いを牽制し合うことで、特定の階級の利益が偏重することを防いでいます。