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ハラリのホモ・デウスを深く理解するための背景知識

## ハラリのホモ・デウスを深く理解するための背景知識

人類史における大きな転換点

ホモ・デウスを理解するには、まず人類史における大きな転換点を把握することが重要です。ハラリは著書の中で、人類史を大きく3つの革命によって特徴づけていると述べています。

* 認知革命:約7万年前、ホモ・サピエンスに言語や抽象的な思考能力が生まれ、虚構を信じる能力を獲得したことで、大規模な集団での協力が可能になり、他の人類種を凌駕するようになった。
* 農業革命:約1万2千年前、農耕が始まり、定住生活が定着したことで、人口が爆発的に増加し、文明が発展した。しかし、同時に食料生産に縛られ、労働の負担が増大し、感染症のリスクも高まった。
* 科学革命:約500年前、近代科学が誕生し、人間は自然法則を理解し、それを利用することで、かつてないほどの力を手に入れた。特に、帝国主義、資本主義、そして現代のテクノロジーの発展は、科学革命によってもたらされたものです。

これらの革命は、人類の能力と社会構造を劇的に変化させ、現在の私たちの姿を形作ってきました。ホモ・デウスでは、この3つの革命を踏まえ、特に科学革命以降の人類が、どこへ向かっているのかを探求しています。

ヒューマニズム

ホモ・デウスでは、現代社会を支配する思想として、ヒューマニズムが取り上げられています。ヒューマニズムとは、簡単に言うと「人間中心主義」のことです。人間は理性と自由意志を持つ特別な存在であり、宇宙の中心であり、人間の経験や感情こそが最も重要な価値基準であるとする考え方です。

ヒューマニズムは、近代以降、特に啓蒙主義やルネサンスの影響を受けて発展し、民主主義、自由主義、人権思想などの基礎となりました。しかし、ハラリは、バイオテクノロジーや人工知能の発展によって、ヒューマニズムの前提が揺るがされつつあると指摘しています。人間がもはや特別な存在ではなくなり、自由意志さえも幻想である可能性が出てきたとき、ヒューマニズムはどうなるのでしょうか。

データ主義

ハラリは、ヒューマニズムに代わる新しい思想として、「データ主義」を提示しています。データ主義は、宇宙をデータの流れとアルゴリズムによって理解し、あらゆる価値を情報の処理能力によって判断するという考え方です。生命もまた、情報を処理するアルゴリズムの一種とみなされます。

データ主義においては、データの自由な流れが最も重要であり、人間はその流れを促進する役割を担います。人工知能やバイオテクノロジーは、データ処理能力を高めるためのツールであり、最終的には人間を超えた知能が誕生し、データの流れを管理するようになる可能性も示唆されています。

バイオテクノロジーと人工知能

ホモ・デウスでは、バイオテクノロジーと人工知能が、人類の未来を大きく左右する技術として取り上げられています。バイオテクノロジーは、遺伝子操作や脳科学などを通して、人間の身体や精神を改変する可能性を秘めています。人工知能は、人間の知能を超える人工的な知能を生み出す可能性を秘めています。

これらの技術は、病気の治療や生活の向上など、多くの恩恵をもたらす可能性がある一方で、人間の尊厳や倫理、社会構造を根本から変えてしまう可能性も孕んでいます。ハラリは、これらの技術の進歩によって、人間が「神」のような存在になる可能性と、同時に「無用な階級」を生み出す可能性の両方を指摘し、警鐘を鳴らしています。

これらの背景知識を踏まえることで、ホモ・デウスでハラリが提示する未来予測や問題提起をより深く理解することができます。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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