ハッブルの銀河の彼方の力

ハッブル宇宙望遠鏡は、地球の大気圏外に位置する宇宙望遠鏡です。1990年の打ち上げ以来、数々の重要な観測を行い、宇宙の理解に革命をもたらしてきました。ハッブルの最大の功績の一つに、遠方の銀河の観測があります。

ハッブルは、その高い解像度と感度を生かして、数十億光年彼方の銀河の姿を捉えてきました。これらの銀河の光は、宇宙が誕生してからわずか数億年後に発せられたものです。そのため、遠方の銀河を観測することは、初期宇宙の状態や銀河の進化を探る上で非常に重要です。

ハッブルの観測により、遠方の銀河ほど地球から速い速度で遠ざかっていることが明らかになりました。これは、宇宙が膨張していることを示す証拠となります。銀河が遠ざかる速度は、その銀河のスペクトルに見られる赤方偏移の大きさから測定することができます。

赤方偏移とは、光の波長が伸びて赤くなる現象です。遠方の銀河から発せられた光は、宇宙の膨張によって空間を伝わる間に波長が伸び、地球に届く頃には赤方偏移を起こしているのです。

1990年代後半、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測により、宇宙の膨張が加速していることが明らかになりました。これは、宇宙には重力に逆らって膨張を加速させる謎のエネルギーが存在することを示唆しています。

この謎のエネルギーは「ダークエネルギー」と呼ばれ、宇宙全体の約70%を占めていると考えられています。ダークエネルギーの正体は未だ解明されていませんが、宇宙の進化を理解する上で重要な鍵を握っていると考えられています。