ハクスリーのすばらしい新世界の構成
構成
ハクスリーは『すばらしい新世界』において、独特な構成を採用しています。 全体は18の章で構成されており、大きく分けて三つの部分に分けられます。
第一部（第1章～第6章）
第一部では、未来社会「すばらしい新世界」の基礎的なシステムが提示されます。
読者は、人間の受精卵が試験管内で育成され、階級別に分けられた人間が、
安定を至上とする管理社会で暮らしている様子を目の当たりにします。
ここでは、バーナード・マルクスやレニナ・クラウンといった主要人物が登場し、
この世界の価値観や生活様式が彼らの視点を通して描かれます。
第二部（第7章～第13章）
第二部では、物語の舞台は新世界から「野蛮人保留地」に移ります。
そこでは、文明社会から隔絶された人々が、伝統的な生活様式を維持しながら暮らしています。
主人公の一人であるジョンは、この保留地で生まれ育ちますが、
新世界の思想に触れることで、両者の価値観の対立に苦悩することになります。
第三部（第14章～第18章）
第三部では、再び舞台は新世界に戻り、ジョンと新世界との対立が鮮明化していきます。
ジョンは、新世界の倫理観や価値観に馴染むことができず、
体制への反発を強めていきます。
そして、物語は、ジョンと支配者ムスタファ・モンドとの対話、
そしてジョンの悲劇的な末路へと向かっていきます。