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ハイデガーの「存在と時間」の秘密

## ハイデガーの「存在と時間」の秘密

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現象学への回帰

ハイデガーは、「存在と時間」において伝統的な形而上学を批判し、存在の問題への新たなアプローチを試みました。彼は、デカルト以来の哲学が、存在者を存在するものとして捉える一方で、存在そのものを忘却してきたと主張します。そこでハイデガーは、フッサールの現象学を出発点とし、存在を直接的に問うことを目指しました。

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現存在と世界内存在

ハイデガーは、人間存在を「現存在」(Dasein)と呼び、他の存在者とは異なる特別な存在として位置づけます。現存在は、単なる「もの」ではなく、常に世界内において「何かとして」存在している存在です。つまり、現存在は世界から切り離された孤立した主体ではなく、世界と常に関係性を持つ存在として理解されます。

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現存在の構造:不安、死、時間性

ハイデガーは、現存在を規定する本質的な構造として、不安、死、時間性を挙げます。「不安」は、現存在が根拠づけのない存在であることを突きつけられる体験であり、「死」は、現存在の可能性の有限性を示す究極的な可能性です。そして、「時間性」は、過去、現在、未来という時間概念を超えた、現存在自身の存在の仕方を規定するものです。

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世俗性と倒錯

ハイデガーは、現存在が本来的な自己であり続けるのではなく、「世間」に埋没してしまう可能性を指摘します。「世間」とは、平均的な日常性や通念、常識によって構成される世界であり、現存在は世間に埋没することで、本来的な自己を失い、非本来的存在に陥ってしまいます。この状態をハイデガーは「倒錯」と呼びます。

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歴史性と存在の真理

ハイデガーは、「存在と時間」の中で、存在を理解するためには歴史的な視点が不可欠であると主張します。彼は、存在は歴史の中で様々な仕方で姿を現してきたとし、その歴史的な展開を「存在史」として捉えることを提唱します。そして、存在史の解明を通して、存在の真理に迫ろうとしました。

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