ノージックのアナーキー・国家・ユートピア
表現: 最小国家
ノージックは、国家の役割を個人の権利を保護することに限定した「最小国家」という概念を提唱しています。これは、警察、裁判所、軍隊といった機能のみを国家に認め、福祉や教育、医療といった分野への介入は否定する立場です。
表現: ロックの自然状態
ノージックは、国家が存在しない「自然状態」における個人の権利について、ジョン・ロックの思想を援用しています。ロックは、自然状態においても、個人が生命、自由、財産に対する自然権を有すると主張しました。ノージックは、この自然権の保護こそが、国家の正当性を保証する唯一の根拠であると論じています。
表現: 正義の所有権理論
ノージックは、個人の権利を重視する立場から、「正義の所有権理論」を展開しています。これは、所有物の正当な取得と移転に基づいて、富の分配の正義を判断する理論です。具体的には、以下の三つの原則を満たす分配はすべて正義であるとされます。
* 正義の取得の原則: 未所有のものを正当な手続きで最初に取得したものは、その所有権を持つ。
* 正義の移転の原則: 正当な所有者から自発的な交換や贈与によって所有物を取得したものは、その所有権を持つ。
* 正義の矯正の原則: 過去に不正な取得や移転によって所有物が移動した場合、それを本来の所有者に戻す必要がある。
表現: パターン化された正義への批判
ノージックは、一定の基準に基づいて富を再分配しようとする「パターン化された正義」を批判しています。彼は、このような再分配は、個人の自由と権利を侵害するものであり、正当化できないと主張しています。
表現: ユートピア多元主義
ノージックは、単一の理想的な社会ではなく、個人の自由な選択に基づいて多様な生き方が可能な社会を理想としています。彼は、国家が特定の生き方を強制するのではなく、個人が自らの価値観に基づいて自由に共同体を選択できるような「ユートピア多元主義」を提唱しています。