ノイマンの大衆国家と独裁を読んだ後に読むべき本
ハンナ・アーレント著 全体主義の起源
ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』は、ノイマンの『大衆社会と独裁』と並ぶ、全体主義の分析における金字塔と言えるでしょう。ノイマンが全体主義の組織構造や権力機構に焦点を当てているのに対し、アーレントは全体主義のイデオロギー的背景、特に反ユダヤ主義と帝国主義が全体主義の台頭に果たした役割を深く掘り下げています。
アーレントは、全体主義を単なる政治体制ではなく、人間の存在様式そのものを破壊する、かつてない新しいタイプの政治現象として捉えています。彼女は、全体主義が台頭する過程で、伝統的な社会の紐帯が崩壊し、孤立した大衆がイデオロギーに扇動されやすい状態に陥ったと分析します。
本書で展開される「全体主義の要素」としての「孤独」「恐怖」「イデオロギー」という分析は、現代社会においても通底する問題提起を含んでおり、全体主義の本質を理解する上で重要な視点を提供しています。
ノイマンの著作を読んだ後にアーレントの著作を読むことで、全体主義の構造と本質をより多角的に理解し、現代社会における全体主義の兆候を見抜くための洞察を得ることができるでしょう。