Skip to content Skip to footer

ノイマンの大衆国家と独裁の対称性

ノイマンの大衆国家と独裁の対称性

ノイマンの議論における「対称性」の位置づけ

カール・シュミットの全体主義論への批判として書かれた「現代の国家における精神と政治形態」の一節である「大衆国家と独裁」において、フランツ・ノイマンは、全体主義国家の分析には「対称性」という概念が重要であると指摘します。ノイマンは、全体主義国家を理解するためには、単に伝統的な国家論の枠組みで捉えるのではなく、新たな視点が必要であると主張します。そして、その新たな視点として提示されるのが「対称性」という概念です。

対称性の具体的な内容

ノイマンは、全体主義国家においては、従来の国家論では対立関係にあるとされてきた様々な要素が、実は相互に依存し、補完し合う関係にあることを指摘します。例えば、ノイマンは、全体主義国家においては、国家と社会、公的領域と私的領域、政治と経済といった従来の二項対立が崩壊し、両者が相互に浸透し合う状況が生じていると分析します。

具体的な例:国家と社会

全体主義国家においては、国家が社会に対して圧倒的な支配力を持つと同時に、社会もまた国家に深く浸透し、国家と社会の境界線が曖昧化していくという現象が見られます。例えば、ナチス・ドイツにおいては、国家が社会のあらゆる領域に浸透し、個人の生活を統制しようとしました。他方で、社会もまたナチスのイデオロギーを内面化し、国家の統制に積極的に協力するようになりました。このように、全体主義国家においては、国家と社会が相互に依存し、補完し合う関係にあると言えるでしょう。

対称性の持つ意味

ノイマンは、全体主義国家におけるこうした「対称性」を指摘することで、従来の国家論では捉えきれない全体主義国家の特異性を浮き彫りにしようとしました。彼の分析は、全体主義国家の複雑な構造を理解する上で重要な視点を提供していると言えるでしょう.

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5