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ノイマンの大衆国家と独裁の位置づけ

## ノイマンの大衆国家と独裁の位置づけ

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ノイマンの生きた時代背景

カール・ヨアヒム・フリードリヒ(1901-1984)とフランツ・レオポルド・ノイマン(1900-1954)は、ともにドイツ出身の政治学者であり、ナチス政権の台頭を経験したことから、全体主義の分析において大きな業績を残しました。二人は、1942年に共著で”Behemoth: The Structure and Practice of National Socialism”(『ベヘモット―国家社会主義の構造と実際』)を刊行し、ナチス体制の分析を行いました。この著作は、全体主義体制の分析における古典的な著作として、今日でも高く評価されています。

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「大衆国家と独裁」の内容と主張

フランツ・ノイマンは、”Behemoth”の執筆後も全体主義体制の分析を深め、1942年には”The Rule of Law”(『法の支配』)を、そして1957年には遺稿として”The Democratic and the Authoritarian State: Essays in Political and Legal Theory”(『民主国家と権威国家―政治と法の理論に関する試論』)が出版されました。

特に”The Democratic and the Authoritarian State”に収録された「大衆国家と独裁」という論文の中でノイマンは、全体主義体制を「大衆国家」と特徴づけ、その本質を「独裁」にあると論じています。ノイマンは、近代社会における大衆の政治参加の高まりが、必ずしも民主主義の発展に繋がるとは限らず、むしろ大衆操作を通じて独裁を生み出す可能性があると指摘しました。

ノイマンは、大衆社会における個人は、孤立化し、原子化され、政治的に無関心になりがちであると分析しました。このような状況下では、カリスマ的な指導者や、プロパガンダを駆使する政党が台頭し、大衆を動員して権力を掌握することが容易になるとノイマンは主張しました。

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ノイマンの議論の評価と影響

ノイマンの「大衆国家と独裁」における議論は、全体主義体制の分析において重要な視点を提供しました。特に、大衆社会における大衆の政治的無関心と、独裁の関連性を指摘した点は、今日においても重要な示唆を与えています。

しかしながら、ノイマンの議論は、大衆を過度に受動的な存在として捉えすぎているという批判もあります。また、ノイマンの分析は、当時の冷戦構造を背景に、ソ連型社会主義体制への批判としての側面も色濃く反映しており、その点を考慮する必要もあるでしょう。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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