ニーブールのローマ史を読んだ後に読むべき本
古代ローマの日常生活
テオドール・モムゼンの『ローマの歴史』や、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』といった大著と比べると、ニーブールの『ローマ史』は政治史を中心とした構成で、文化や社会の描写はややあっさりとしているきらいがあります。そこで、『ローマ史』でローマ政治史の流れを把握した後に、古代ローマの人々の具体的な暮らしぶりについて、より詳しく知りたいという場合には、ピエール・グリマルの『古代ローマの日常生活』を読むことをお勧めします。
本書は、古代ローマにおける衣食住から、結婚や教育、娯楽、宗教といった多岐にわたるテーマについて、豊富な史料を駆使しながら、生き生きと描き出すことで、古代ローマ人の日常生活を具体的にイメージさせてくれます。例えば、ローマ人はどのような服を着て、どのようなものを食べていたのか、どのような家に住んでいて、どのような娯楽を楽しんでいたのか、といったことが、具体的なエピソードや描写を通して、まるで現代に蘇ってくるかのように理解することができます。
また、本書は単に古代ローマの日常生活を解説するだけでなく、その背景にある社会構造や価値観についても深く掘り下げている点も特徴です。例えば、ローマにおける家族制度や奴隷制、宗教観などが、人々の日常生活とどのように結びついていたのかを、具体的な事例を通して明らかにしています。
『ローマ史』で古代ローマの歴史的展開を概観した後、『古代ローマの日常生活』を読むことで、古代ローマ社会に対する理解をより深め、より立体的なイメージを持つことができるようになるでしょう。