## ニーブールのローマ史の話法
### ニーブールの文体について
テオドール・モムゼンが「ニーブールは歴史を物語として語る卓越した能力を持っていた」と評したように、ニーブールの『ローマ史』はその劇的な語り口が特徴です。これは単に事実を羅列するのではなく、古代ローマの人々の感情や行動を生き生きと描写することで、読者を古代ローマの世界に引き込むことを意図したものです。
### 修辞技法の多用
ニーブールは、その文体に古代ギリシャ・ローマの古典的な修辞技法を積極的に取り入れています。例えば、対句法、反復法、比喩などが多用されており、これによって文章にリズム感と力強さが生まれています。また、彼は古代の文献から適切な引用を織り交ぜることで、自身の主張に説得力を与えています。
### 史料批判と物語性の両立
ニーブールは、歴史研究において史料批判が不可欠であることを認識していました。彼は当時の最新の研究成果を踏まえ、史料の信頼性を厳密に検討した上で、自身の歴史叙述を構築しています。しかし、彼は単に史料を羅列するのではなく、史料に基づいて歴史を魅力的な物語として再構成することに力を注ぎました。これは、歴史をより多くの人に分かりやすく伝えるための彼の工夫だったと言えるでしょう。