ニーブールのローマ史の評価
ニーブールのローマ史とは
バルトホルト・ゲオルク・ニーブール(Barthold Georg Niebuhr、1776-1831)によって書かれた古代ローマの歴史書。原題は『ローマ史』(Römische Geschichte)。1811年から出版が始まり、ニーブールの存命中は3巻まで刊行されました。本書は古代ローマ史研究に大きな影響を与え、近代的な批判的歴史学の成立に貢献したと評価されています。
史料批判に基づいた画期的な研究
ニーブールの『ローマ史』がそれまでのローマ史研究と一線を画していたのは、徹底した史料批判に基づいていた点にあります。ニーブールは古代ローマに関する文献を詳細に分析し、その信憑性を厳密に検証しました。伝説や伝承に覆い隠された歴史的事実を明らかにしようと試み、従来のローマ史の通説に疑問を呈しました。
ローマ初期の歴史解釈への影響
ニーブールの研究は、特にローマ初期の歴史解釈に大きな影響を与えました。例えば、王政ローマ時代の歴史について、リウィウスなどの古代の史料を批判的に分析することで、従来の説を覆す新たな解釈を提示しました。
その後の研究への影響と限界
ニーブールの『ローマ史』は、その後のローマ史研究に多大な影響を与えましたが、そのすべてが今日においてもそのまま受け入れられているわけではありません。ニーブールの後も、考古学的な発見や新たな史料の発見などによって、ローマ史研究は進展を続けています。結果として、ニーブールの一部の説は修正を余儀なくされたり、否定されたりしています。
客観的な評価
ニーブールの『ローマ史』は、近代的な歴史学の方法を古代ローマ史研究に導入したという点で画期的な著作であり、その後のローマ史研究に大きな影響を与えました。しかし、ニーブールの解釈のすべてが今日においても正しいと認められているわけではなく、その功績は歴史的な文脈の中で評価されるべきです。