## ニーブールのローマ史の価値
史料批判に基づいた記述
バルトホルト・ゲオルク・ニーブールは、歴史記述において厳密な史料批判を重要視しました。伝説や文学作品からではなく、碑文や貨幣などの考古学的資料や、同時代の一次史料を徹底的に分析し、その信憑性を検証した上で歴史を再構築しようとしました。
ローマ史研究における先駆性
ニーブールは、古代ローマの歴史を単なる政治史や軍事史としてではなく、社会構造や経済状況、宗教観など、多角的な視点から分析しました。これは、それまでの歴史記述ではあまり見られなかった、革新的なアプローチでした。
客観性と批判精神
ニーブールは、自らの解釈や推測を排し、可能な限り客観的な視点で歴史を記述しようと努めました。また、従来の通説や権威に盲目的に従うのではなく、常に批判的な精神で検証を行いました。
その後の歴史学への影響
ニーブールの厳密な史料批判と客観性を重視する姿勢は、その後の歴史学に大きな影響を与えました。彼の著作は、歴史学を学問として確立する上で重要な役割を果たし、現代でも古典として読み継がれています。
限界と批判
ニーブールの歴史記述は、その厳密さゆえに、時に平板で面白みに欠けるとの批判もあります。また、史料が不足している時代については、推測に頼らざるを得ない部分も存在しました。