ニーブールのローマ史の企画書
### 執筆の背景
古代ローマ史は、政治、軍事、文化など多岐にわたる分野において、後世に計り知れない影響を与えてきました。しかしながら、既存のローマ史研究においては、断片的な史料に基づいた推測や、特定の立場からの偏った解釈が多く見られます。
### 本書の目的
本書は、古代ローマに関する膨大な量の史料を批判的に検討し、可能な限り客観的な視点からローマ史を再構築することを目的とします。従来の研究では見過ごされてきた史料の発掘や、新たな解釈の導入を通じて、より真実に近いローマ史の記述を目指します。
### 本書の特徴
1. **史料批判に基づいた記述**: リウィウスやタキトゥスといった著名な歴史家の記述であっても、その信憑性を厳密に検証し、裏付けとなる史料や考古学的証拠と照らし合わせていきます。
2. **政治史・社会史・文化史を統合した包括的な視点**: 政治や軍事といった従来のローマ史研究の中心的なテーマに加え、社会構造や文化、宗教、日常生活といった側面にも光を当て、多角的な視点からローマ史を描き出します。
3. **客観性と学術的な正確さを重視**: 特定の立場や解釈に偏ることなく、可能な限り中立的な立場から、学術的に正確な記述を心がけます。
### 構想
本書は全3巻から構成され、ローマ史の起源から西ローマ帝国滅亡までを網羅します。
* **第1巻**: ローマの建国からポエニ戦争終結まで
* **第2巻**: ポエニ戦争終結から共和政末期まで
* **第3巻**: アウグстуスによる帝政開始から西ローマ帝国滅亡まで
各巻は、年代順に沿って記述する編年体の形式を採用し、政治、軍事、社会、文化といったテーマごとに章を分けていきます。