## ニーブールのローマ史のメカニズム
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史料批判
ニーブールは、歴史記述の基礎として厳密な史料批判を重視しました。 彼は古代ローマに関する膨大な量の史料を、一次史料と二次史料、さらにそれぞれの史料の信頼性によって分類し、吟味しました。
例えば、リウィウスやタキトゥスといったローマ人歴史家の著作を一次史料として扱いながらも、 彼らの政治的立場や時代背景を考慮し、記述の客観性について慎重に見極めようとしました。 また、碑文やコインなどの考古学的資料も積極的に利用し、文献史料との整合性を検証することで、より信憑性の高い歴史的事実を明らかにしようと努めました。
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政治制度分析
ニーブールは、ローマ史を単なる出来事の羅列ではなく、政治制度の発展と関連付けて理解しようとしました。 彼は、ローマの政治体制、特に共和政ローマにおける貴族制(パトリキ)と平民(プレブス)の対立と融和の過程に着目し、 それがローマ史全体を貫く重要な動因であったと捉えました。
彼は、ローマの政治制度の変遷を詳細に分析し、 各時代の政治機構、法律、慣習などがどのように機能し、 また相互に影響し合っていたのかを明らかにしようとしました。
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社会経済構造の重視
ニーブールは、政治史だけでなく、社会経済構造が歴史に与える影響も重視しました。 彼は、ローマの社会構造、経済活動、宗教、文化などを分析し、 それらが政治制度や歴史の展開にどのように影響を与えたのかを考察しました。
例えば、ローマ帝国の拡大に伴う奴隷制の拡大や、 農村の疲弊と都市部への人口集中といった社会経済的な変化が、 共和政の危機や帝政の成立に繋がったと分析しました。
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