ニーブールのローマ史に関連する歴史上の事件
ローマ史研究の進展
バルトホルト・ゲオルク・ニーブール(1776-1831)は、古代ローマの歴史を現代的な歴史学の方法で著したことで有名なドイツの歴史家です。彼の主著である『ローマ史』(Römische Geschichte)は、1811年から1832年にかけて出版されました。ニーブールのローマ史研究は、それまでの歴史叙述とは一線を画すものでした。彼は、古代の資料批判を重視し、伝説や神話を排除して、可能な限り史実に基づいた歴史記述を目指しました。
史料批判と客観性
ニーブール以前のローマ史研究は、リウィウスやプルタルコスといった古代ローマの著述家の記述に大きく依存していました。これらの著述家は、歴史的事実よりも文学的効果や政治的意図を優先することが多く、歴史的正確さには欠けていました。ニーブールは、これらの史料を批判的に吟味し、他の史料や考古学的証拠と照らし合わせて、その信憑性を判断しました。
政治的背景と影響
ニーブールのローマ史研究は、彼が生きていた時代背景と深く関わっています。彼はナポレオン戦争の時代に生き、フランス革命とナポレオンの台頭を目の当たりにしました。ニーブールは、ローマ共和国の衰退と帝政の誕生という歴史的プロセスが、当時のヨーロッパ社会と類似していると感じていました。彼は、ローマ史研究を通して、現代社会に対する教訓を引き出そうとしていました。
ローマ史研究への貢献
ニーブールのローマ史は、古代ローマ史研究に大きな影響を与えました。彼の史料批判の手法や客観的な歴史記述は、その後の歴史家たちの模範となりました。また、彼はローマ史を政治史、社会史、文化史など多角的に分析し、ローマ史研究の幅を広げました。彼の著作は、19世紀から20世紀にかけて、ヨーロッパにおけるローマ史研究の standard な教科書として広く読まれました。