## ニーチェの悲劇の誕生の対称性
ギリシャ悲劇におけるディオニュソス的とアポロン的の対比
ニーチェは、ギリシャ悲劇を理解する上で、ディオニュソス的とアポロン的という二つの相反する芸術衝動のせめぎ合いが重要であると主張します。
ディオニュソス的なものは、陶酔、酩酊、生の根源的な力、個体性の消滅などを表し、アポロン的なものは、夢、幻影、理性、秩序、個体性の確立などを表します。ニーチェによれば、ギリシャ悲劇は、この両者の対立と融合によって成立していました。
具体的には、悲劇におけるコーラスはディオニュソス的なものを体現し、舞台上の登場人物やその物語はアポロン的なものを体現しています。そして、この両者がせめぎ合い、時に融合することで、ギリシャ悲劇は、生の苦悩と歓喜を同時に表現する深遠な芸術作品となったのです。