Skip to content Skip to footer

ニーチェの悲劇の誕生の対極

## ニーチェの悲劇の誕生の対極

###

ニーチェの主張

『悲劇の誕生』において、ニーチェは古代ギリシャ悲劇を、
アポロン的なものとディオニソス的なものという、
相反する二つの芸術衝動の結合から生まれたものと解釈しました。

* **アポロン的**:理性、秩序、造型、視覚芸術、個体性を重視する傾向
* **ディオニソス的**:陶酔、混沌、音楽、境界の溶解、全体性を志向する傾向

ニーチェは、近代社会においては理性や知性が過度に重視されるあまり、
ディオニソス的なものが抑圧されていると批判しました。
そして、西洋文明の根底にあるこのアンバランスを是正するために、
ディオニソス的なものの復権を訴えかけました。

###

対極に位置する思想:啓蒙主義

ニーチェの思想の対極に位置するものとして、
18世紀ヨーロッパに興った啓蒙主義が挙げられます。
啓蒙主義は、理性による人間の解放と社会の進歩を目指した思想運動であり、
まさにニーチェが批判した「理性や知性の過度な重視」を体現していると言えます。

###

啓蒙主義を代表する書物:百科全書

啓蒙主義の思想を代表する書物としては、
ディドロやダランベールらが中心となって編纂した『百科全書』が挙げられます。
『百科全書』は、当時のあらゆる知識を網羅し、
理性に基づいた体系的な知の構築を目指した巨大な百科事典です。

###

『百科全書』と『悲劇の誕生』の対比

* **理性 vs. 陶酔**: 『百科全書』は理性による世界の理解を目指したのに対し、『悲劇の誕生』は、理性では捉えきれないディオニソス的な陶酔の重要性を説いています。
* **秩序 vs. 混沌**: 『百科全書』が知識の体系化、秩序化を目指したのに対し、『悲劇の誕生』は、ディオニソス的な混沌や境界の溶解にこそ、生命の根源的な力があると主張しました。
* **普遍性 vs. 個別性**: 『百科全書』は普遍的な知識の構築を目指したのに対し、『悲劇の誕生』は、古代ギリシャという具体的な文化における芸術表現を通して、人間の根源的な衝動を考察しました。

このように、『百科全書』と『悲劇の誕生』は、
理性と陶酔、秩序と混沌、普遍性と個別性といった、
対照的な価値観を体現する歴史的名著として位置づけることができます。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5