## ニーチェの悲劇の誕生の光と影
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ディオニュソス的なものとアポロン的なもの
「悲劇の誕生」において、ニーチェは古代ギリシャ悲劇を分析する上で中心となる二つの概念を提示します。それが
ディオニュソス的なものとアポロン的なものです。
ディオニュソス的なものは、陶酔、酩酊、熱狂、本能、非理性、混沌、破壊といったものを象徴し、アポロン的なものは、
理性、秩序、調和、夢、芸術、彫刻といったものを象徴します。ニーチェは、この一見対照的な二つの原理が、
古代ギリシャ悲劇において見事に融合し、ギリシャ文化の隆盛を支えたと主張します。
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ギリシャ悲劇における光と影
ギリシャ悲劇は、人生の苦悩や悲惨さを真正面から描き出す一方で、その苦悩や悲惨さを
通して、生の肯定、生の歓喜をも表現しています。これが、ニーチェの言うギリシャ悲劇の光と影です。
アポロン的なものは、美しい形、秩序、調和などを象徴し、ギリシャ彫刻に見られるような
理想化された人間像、完成された世界観を表現します。これは、いわばギリシャ悲劇の「光」の部分と言えるでしょう。
一方、ディオニュソス的なものは、陶酔や狂気、生の根源的な力強さを象徴し、
アポロン的な秩序や調和を破壊する側面を持ちます。これは、人生の苦悩や悲惨さ、
生の非理性を突きつけるギリシャ悲劇の「影」の部分と言えるでしょう。
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芸術衝動の源泉としての光と影
ニーチェは、このアポロン的なものとディオニュソス的なもののせめぎ合い、融合こそが、
ギリシャ悲劇を生み出した原動力であり、人間の芸術衝動の源泉であると考えました。
美しい夢や理想を描くアポロン的なものと、生の根源的な力強さや苦悩を突きつける
ディオニュソス的なもの。この相反する二つの原理のせめぎ合いの中で、
人間は真に芸術を創造する力、生の歓喜を味わう力を得ることができるとニーチェは考えました。