## ニーチェの悲劇の誕生の企画書
### 書籍名
悲劇の誕生 –ギリシャ文化とペシミズムより–
### 執筆の背景と目的
現代 (19世紀後半) の文化状況は、学問の過度な専門化、唯物論的な世界観、浅薄な楽観主義によって支配されており、真に人間的な文化、精神的な深みを持った文化が失われているという危機感が広がっている。
私は、古代ギリシャ、とりわけギリシャ悲劇において、この現代文化の危機を克服する鍵を見出している。本著では、ギリシャ悲劇の起源と本質を、音楽と歌、ディオニソス的なものとアポロン的なものの対立、悲劇におけるカタルシスといった観点から分析する。そして、ギリシャ悲劇の持つ、人間の根源的な苦悩と生の肯定を両立させる力を通して、現代文化の再生の可能性を提示することを目指す。
### 想定読者
* 現代文化の現状に疑問や危機感を抱いている人
* ギリシャ文化、特にギリシャ悲劇に関心のある人
* 哲学、美学、芸術に関心のある学生、研究者
* 人間の存在意義や生の意味について深く考えたい人
### 本書の構成 (案)
**序論:** 本書の目的と問題意識を提示する。
**第一章: ギリシャ文化と悲劇の起源**
* ギリシャ文化の特徴と現代文化との比較
* 悲劇の起源とディオニソス祭との関係
**第二章: 音楽の力とディオニソス的なもの**
* 音楽の持つ非理性的な力、陶酔感
* ディオニソス的なもの: 陶酔、混沌、生の根源的な力
**第三章: 夢と形象、アポロン的なもの**
* アポロン的なもの: 理性、秩序、美、夢、形象
* 彫刻と造形芸術におけるアポロン的なものの表現
**第四章: ディオニソス的なものとアポロン的なものの和解としての悲劇**
* 悲劇における音楽と言葉、陶酔と形象の融合
* 悲劇的英雄における人間の有限性と無限性との葛藤
**第五章: 悲劇におけるカタルシスとその現代的意義**
* 悲劇鑑賞を通して経験する恐怖と憐憫、そして浄化
* 現代社会におけるカタルシスの必要性と可能性
**結論:** ギリシャ悲劇の現代的意義を改めて強調し、読者への問いかけで締めくくる。
### 本書の特色
* 従来の学問的な枠組みにとらわれず、哲学、美学、歴史、文学を横断する斬新な視点からギリシャ悲劇を論じる。
* 音楽とディオニソス的なものに着目することで、ギリシャ悲劇の根源的な力を明らかにする。
* ギリシャ悲劇を通して、現代文化の危機を克服し、人間的な生の回復を目指す。
### 参考文献 (一部)
* プラトン全集
* アリストテレス『詩学』
* ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
* リヒャルト・ワーグナーに関する文献