## ニュートンの自然哲学の数学的諸原理（プリンキピア）の力
### 力の定義
ニュートンは『プリンキピア』において、運動法則の前にまず「力」の定義を与えています。彼は力を「物体に加えられる作用」と定義し、それが物体の運動状態を変化させる原因となるとしました。具体的には、力は物体に速度の変化（加速度）を生み出したり、静止状態を保っている物体を動かしたりします。
### 力の種類
ニュートンは具体的な「力の種類」については多くを語りませんでしたが、『プリンキピア』では主に以下の三種類の力が扱われています。
* **重力:** 万有引力とも呼ばれ、質量を持つすべての物体間に働く力です。地球上の物体が地球に引き寄せられる力も、惑星が太陽の周りを公転する力も、すべてこの重力によって説明されます。
* **接触力:** 物体が互いに接触することで働く力です。例えば、机の上に置かれたリンゴにはたらく垂直抗力や、摩擦力などが挙げられます。
* **遠隔力:** 物体が離れていても作用する力です。当時のニュートンは重力以外の遠隔力を明確には示していませんが、磁力などを想定していたと考えられています。
### 運動の法則と力
ニュートンは『プリンキピア』において、有名な運動の三法則を提唱しました。これらの法則は、物体の運動と力との関係を明確に示すものでした。
* **慣性の法則（第一法則）:** 物体に力が働いていないとき、物体は静止状態を保つか、等速直線運動を続けます。
* **運動の法則（第二法則）:** 物体に力が働くと、物体にはたらく力の向きに加速度が生じ、その加速度の大きさは力の大きさに比例し、質量に反比例します。これは、F = ma という式で表されます。
* **作用・反作用の法則（第三法則）:** ある物体が他の物体に力を及ぼすとき、力を及ぼした物体は、同時に逆向きの同じ大きさの力を受ける。
これらの法則は、物体の運動を理解するための基本的な枠組みを提供し、力と運動の関係を数学的に記述することを可能にしました。
### 万有引力の法則
『プリンキピア』の最大の功績の一つが、万有引力の法則の発見です。この法則は、すべての物体は互いに引き寄せ合う力を持ち、その力は物体の質量に比例し、距離の二乗に反比例すると述べています。
### 力の概念の影響
『プリンキピア』における力の概念は、後の物理学、天文学、工学などの発展に計り知れない影響を与えました。物体の運動を力と結びつけることで、様々な自然現象を統一的に理解することが可能となり、近代科学の礎を築いたと言えます。