ナボコフのロリータの原点
ナボコフ自身の発言
ナボコフ自身は、ロリータの着想源についていくつかの発言を残しています。
* 1956年のインタビューで、ロリータの原点は「年配の男と若い女の子の恋」というありふれたテーマへの興味から生まれたと語っています。
* また、1958年のエッセイ「ロリータのその後」では、パリに住んでいた1930年代後半に、同様のテーマを扱った短編小説を書いたものの、満足のいく出来ではなかったため破棄したと述べています。この幻の作品は「魔法使い」というタイトルだったと考えられています。
* さらに、ロリータの執筆中に、ハインリヒ・フォン・クライストの「ミヒャエル・コールハース」とエドガー・アラン・ポーの作品群から影響を受けたと語っています。
関連する作品と出来事
ナボコフの生涯と作品を紐解くと、ロリータの着想に影響を与えた可能性のある作品や出来事がいくつか浮かび上がります。
* 1916年、当時17歳だったナボコフは、11歳の女の子と恋に落ちますが、彼女の家族に反対されてしまいます。この経験は、年齢差のある恋愛に対するナボコフの関心の原点になったと考えられます。
* ナボコフは、ウラジーミル・シリンという筆名でロシア語で作品を発表していましたが、1940年から英語で執筆するようになります。この言語の転換は、彼の文学的スタイルとテーマに大きな影響を与えたと考えられています。
* ロリータの執筆とほぼ同時期に、ナボコフは蝶の研究に没頭しており、ロリータの作中にも蝶のモチーフが頻繁に登場します。
これらの情報が、ナボコフのロリータの原点を探る上で参考になれば幸いです。